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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁
信天翁か――とびか、鷹か、みさごか、かもめか、なんだか知らないが、ばかに大きな、真白な鳥だ。
そのうしろを、黒鉛のような夕暮の色が沈鬱にし、金色の射る矢の光が荘厳にする。
なんだ、鳥か――小児が再び走り出したのは、その時からはじまります。雲が心あっておりて来るなら、それに乗りたい、だが、鳥では用がないとでも思ったのだろう。
鳥の方でもまた、お気に召さないならば……と挨拶して、翼の方向をかえる。
清澄の茂太郎は、またも、まっしぐらに砂浜の無限の道を走る。
遠見の番所も見えなくなった。
駒井の住所も、造船所の旗も、模糊としてわからない。
空の紅の色は漸くあせてゆくと、黒の夕暮の色がそれを包んでゆく。ただ一本、すばらしく長い金色の光が、大山の上あたりまで、末期の微光を放っているのが残るばかり。
そこで清澄の茂太郎は、また踏みとどまって、あらん限りの声で歌い出した。
音節が聞えるだけで、歌詞のわからないのは例の通り――
ひとしきり、歌をうたうと、またも、西の空の残光に向って、まっしぐらに走り出す。行くことを知って、帰ることを知らないらしいこの少年にあっては、行くことの危険に盲目で、帰ることの安全が忘却される。