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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁

青空文庫

ちょうど、この時分、女軽業のお角は、ようやくのことに宿を立ち出でて、例の通り駕籠に乗り、若いのが駕籠わきに附添って、そうして、この唐人小路の思いがけない曝し物のところまで来て、そのさらし物の世迷言が耳に入ると、グッとこたえてしまいました。

「いやな声が聞えるじゃないか、耳のせいか知らないが、甲州の猿橋の下へつるされたやえんぼうが、ちょうど、あんな声を出していたよ」

と、垂を手あらく掻き上げて、

「見られたザマじゃない」

駕籠を出て来たお角は、がんりきの傍へ寄って来て、

「何という業さらしだい、そのザマは……」

と呆れ返りました。

呆れ返ったうちには、歯痒くってたまらない思い入れもある。

「傍へ寄っちゃあいけない」

例の六尺棒が、お角の出端を押えようとするのを、お角は丁寧に、

「御免下さいまし、実は山崎譲先生から、お許しをいただいて参ったのでございます」

「ナニ、山崎譲さんから」

「この通りでございます、一切、みんなお返しをしていただいて参りました」

「なるほど」

六尺棒が合点したのは、お角が立戻って、自分の乗って来た駕籠を押開いて見せると、その中には、さいぜん山崎譲がこの男から剥ぎ取った一切のものが、まとめてそこに入れてありました。