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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁
この十坪ばかりのところは、すっかり桜草の一族で固めて、他人を入れまいとしておりますよ。どれを見ても、これを見ても、色のよいこと――それもそのはずです、この高いところで半年の間、この真白な雪で研かれたんですもの、下界の花とは色の深さが違います、強さが違います、位も違うのは仕方がありません」
空間のめざましさに、眼をさました竜之助は、地上の美観にも目を奪われないわけにはゆきません。なるほど、これがお花畑。人間の手で作れない、雪と、氷と、高さとの力で作られた、天然の花の色。
「これが深山薄雪っていうんでしょう」
お雪はその一つを摘み取って、自分の唇につけながら、
「この信濃の国のうちでも、お花畑のいちばん美しい山は白馬ヶ岳だそうでございます、それはいちばん北の方にあるから雪が多く、雪が多いから地面にうるおいが出て、うるおいがあるから、こうした植物が好んで棲むのだと、山の案内の方が教えてくれました。全くその通りと思いますわ。あなたは久しく物の色というものをごらんになりませんね、ですから、しっかりとこの深い色、汚れのない色をごらんあそばせ、そうして、花の名もよく覚えていて下さいな、深山薄雪といって、わたしの名と同じことなんです」