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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁
白骨の月夜は名物ときいたが、月の光が昼間まで照り残っているということはあるまい。
さりとて、鐙小屋の神主殿の面が、白日の下に、明る過ぎるほど明るかったと思うのも、ものの不思議。
やはりお化けが出なかったかと言われて、はじめて兵馬は物の怪に襲われた心持で、
「ははあ、白骨にはお化けが出るなんて、そんな噂があるのですかね」
「ありますとも、もし……出なけりゃ不思議なもんだと、こっちではみんな、そういっておぞけをふるっておりますよ」
これは湯槽の中の輿論のようで、この地では誰ひとりとして、白骨にお化けが出るということを信じないものはないようです。
「そうでしたかね、我々はあそこにいても、一向お化けというものを聞きもしなかったし、無論、見もしなかったが、いったい、そのお化けというのは、どんなお化けですか」
「いくつも出るそうですが、そのなかで、高山の淫乱後家と、男妾の浅公……」
と四十男が浅黒い面に、思いのほか白い歯並を見せてニヤリと笑いました。
「ははあ、高山の後家さんと、なにがしの若者、それが化けて出るというのですか」
「そりゃ見た人があるから、たしかなもんですが、そのほか、いろいろな化け物が、この冬は白骨に巣をくっているってますから、こちらからは誰も参りません。