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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠16(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 268,946 字 · 520 頁

青空文庫

昨晩、長浜方面から帰りがけだと言って立寄った時に、関守氏が何か言ったようだけれど、いろいろに気の散っているお雪ちゃんには、それが思い出されないでいると、関守氏は続けて、

「しかし、まだ今晩が剣呑でござんすからな、友造君によくそのことを話して置いて、相成るべくは早く戸を締めて、そうして燈火も外へ漏れないようにすることですな」

さまで念を入れての警戒が、お雪ちゃんによく呑込めないでいたが、ようようそれと感づいたか、

「関守さん、もう大丈夫でございますよ、友さんの親切で、子供を連れて行ってしまったんですもの、そうしつこく仕返しになんぞ来はしないとわたしは思いますわ」

「何のことです、お雪ちゃん」

「関守さん、あなた何のことをおっしゃっていらっしゃるのですか」

「何のことじゃありません、昨晩もちょっとお話ししたじゃありませんか、湖岸一帯のあの一揆暴動のおそれなんですよ」

「まあ、そのことでございましたか、わたしはまた、あの鷲の子のことかと思いました」

「いや、そんなんじゃありません、鳥獣の沙汰じゃないのでごわす、人類が食うか食わぬかの問題でして……」

そこで、お雪ちゃんにも、関守氏が関心を置くことの仔細がよく呑込めました。