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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠16(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 268,946 字 · 520 頁

青空文庫

、無事と、愉快とで過ごして行きましたが、これがこの分で通れば、世の中には神も仏もございません。

三年目に、死んだ主人の法要をして、夫婦してお寺参りを致しました。

六十八

その日の法要が済んで、いざ帰宅という間際になると大夕立です。

お寺の本堂の庇から流れ落ちて、庭の小溜りに夥しい泡んぶくが動揺しているのを、雨をやませながら、右の若い番頭が見るともなしに見やると、その昔の凶状のことを思い出してゾッとしました。

あの時の光景が、まざまざと眼に浮んで来ました。主人が苦しみもがく断末魔の表情と、頼むにも、訴えるにも、生き物という生き物が一つも見えない苦しまぎれに、眼前に漂うあの泡んぶくを見て、「泡、泡、泡、泡んぶく、おお、泡んぶく、敵を取ってくりょう、泡んぶく、お前、敵を取ってくりょう、敵をとってくりょう」

と絶叫した主人の、血みどろな形相を想い出すと、さすがにいい気持はしないで、一時は面色を変えてみたが、それが静まると、かえって今度は反抗的に、一種の痛快味をさえも覚ゆるようになりました。

笑止千万なことだが、泡んぶくを頼んでも、いまだに敵を打てはしない。