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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠19(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 頁
両側は櫛比した町家になっている。そのまた町家が、いずれも熟睡時間だから、戸を閉しきって人っ子ひとり通るのではないから、みようによっては、薄野原の無人境よりはいっそう荒涼たるものに見える。清少納言は、火のなき火鉢というものをすさまじきものの一つに数えたが、もともと人家のないところに人家がないのは荒涼とはいえ、そこにまた自然の趣もあるというものだが、人家があって人がいない光景は、かえってすさまじいものがあると見られる。それに、これも今となって気がついたものだが、いつのまにか、闇の空は破れて皎々たる月がかがやいていようというものである。そこで、死の沈黙のような町並がいっそう荒涼たるものに見える。そのくせ、人家は行けども行けども無数に櫛比していることであり、その数の夥しいこと無数無限といってもよい。その中を三人が、例の歩調を揃えて、さっさと歩み入るのでありましたが、前途に蒲団を着て寝ているような山があって、その山の真中に大文字の火が燃えている。どうしたものか、その辺で、山崎の能弁がぱったりと止まって、三人は無言で、その月下無人の市街路を、さっさと進んで行くのであります。