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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠19(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 頁
誰彼と言おうよりも、当時これだけの権式を持ち得る人は、胆吹王国の女王様以外には、その人のあるべきはずがない。
平明に言ってしまえば、この早手の中の対坐の客は、お銀様に対する不破の関守氏であって、それに従者が一人、神妙に後ろの方に控えていると、蓑笠をつけた舟夫が一人、勇敢に櫓をあやつっているだけのものです。
早手は急ピッチを変えず、島も大船も見えずなり、それにまたもや一陣の霧が、一むれ襲うて来たものですから、四辺は煙波浩渺たり、不破の関守氏の懐古癖が充分に昂上を見たと覚えて、
大船の――
かとりの海に
いかりおろし
いかなる人か
物思はざらむ――
朗々たる名調子で、一種独得の朗詠が湖上の上に漂いました。
八
湖面が再び白殺されて、夜が明けたのか、月が出戻ったのかわからないような気分のうちに、大船も、早手も、みんな隠れてしまっている。その中から、不破の関守氏のいい心持になった懐古の饒舌が続いている、
「いい歌です、ともかく大湖の面に船がかりして、ああして安定しているあの大船を見ると、まずこの歌が心頭に上って来ます、単にいい歌とか悪いとかいう批評を超絶した歌です、大きな鳴動であり、大きな姿勢ではありませんか、古今無双です、まさに天地の間に並び立つものがありませんな」