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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠5(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,120 字 · 516 頁

青空文庫

「それは違います、それは違います」

お角は、あわててそれを打消すと、神尾が意地悪く、

「福、お角は違うと言ってるが、お前はどう思う」

「違いませんな」

福兄は得たりと引取って、空嘯く。

「では、福兄さん、お前さん、何をごらんなすったの」

「さあ、拙者が、じかに見たというわけじゃねえのだが、両国の、とある船宿の二階で、さしむかいの影法師を、ちらりと睨んだ者がこちと等の仲間にあったのだ、そうしてその一人が、両国橋の女軽業の太夫元のお角さんとやらに似ていたとか、いなかったとか、岡焼めらが騒いでいるんだから始末におえねえ」

「え、そりゃお安くないんですね、両国橋の女軽業の何とやらのお角さんといえば、多分この辺にいるお婆さんのことでしょうけれど、今時こんなお婆さんを相手にする茶人があるというのは、頼もしいことですね」

「実際、頼もしいんだから驚きまさあね。しかし、お婆さんはかわいそうですよ、年増盛りのハチ切れそうなのを捉まえて、お婆さんはかわいそうだね」

「まあ、ようござんす、どのみち浮名を立てられるうちが、人間の花ですからね」

「そりゃ花ですともさ。ですけれども、花もあんまり、こってりと咲かれると、よその花ながら嫉ましくなるよ、ねえ大将」