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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠5(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,120 字 · 516 頁

青空文庫

「おや?」

と言って、さすがのお角がゾッとするほど驚かされました。

それは、絵巻のうちの美しい奥方の一人の面が、蜂の巣のように、針か錐かのようなもので突き破られていたからです。悪戯にしてもあまりに無惨な悪戯でありましたから、お角は身ぶるいしました。急いでその次を展げて見ると、それは花のような姫君の面が、やはり無惨にも同じように針で無数の穴が明けられていました。

「おお怖い」

その次を展げると、水々しい町家の女房ぶりした女の面が、今度は細い筆の先で、無数の点を打ちつけて、盆の中に黒豆を蒔いたようになっています。

あまりのことに呆れ果ててお角は、それからそれと見てゆくうちに、一巻の絵本のうち、女という女の面は、どれもこれも、突かれたり汚されたり、完膚のあるのは一つもないという有様でした。

「あんまり、これでは悪戯が強過ぎる、なんぼなんでも僻みが強過ぎる」

お角は、この悪戯がお銀様の仕業であることは、よくわかっています。そうして、この絵本のうち、美しい男も、好い男も、強そうな男も、いくらも男の数はあるけれども、それには一指も加えないで、女だけをこんなに傷つけ散らし、汚し散らして、ひとり心を慰めようとするお銀様の心持も大概はわかっているが、それにしてもあんまり僻みが強過ぎて、空怖ろしいと思わずにはおられなくなりました