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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠5(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,120 字 · 516 頁

青空文庫

十八

これは別段に風があったというわけでもなく、また物につまずいたというわけでもなく、長い時間とぼされていた蝋燭の命数がここへ来て、自然に尽きてしまったのだから是非もありません。

「立つは蝋燭、立たぬは年期、同じ流れの身だけれど……かね」

「もう、提灯は要らんよ」

それは主人の声であるらしい。

「それでも、無提灯で帰るのは景気が悪いですからね、景気をつけて参りましょうよ」

提灯持ちは、火打道具をさぐっているものらしい。

「よせよせ、提灯で足許を見られるような、兄さんとは兄さんが違うんだぞ」

りきみかえっているのは、若党の肥った男であるらしい。

それをやり過ごした兵馬と男装の女とは、庚申塚の蔭から出て来ました。

「どうも不思議だ、今のあの武家は、たしかにあれは神尾主膳に違いない」

兵馬はこう言って、闇に消えて行く三人の後ろ影を見つめて追いかけました。

十八

それからいくらも経たない後、両国の見世物小屋の屋根から高く釣り下げられた大幟に、赤地に白く抜いて、

「山神奇童 清澄の茂太郎」

とあります。

その見世物小屋というのは、過ぐる時代に、珍らしい印度人の槍芸のかかった女軽業の小屋で、その後一時は振わなかったのを今度、再びこの山神奇童が評判になって、みるみる人気を回復しました。