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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠5(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,120 字 · 516 頁

青空文庫

清澄にいる時分、上方から来た老僧から、弁信は平家琵琶を教えてもらいました。

「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす……」

もとよりそれは本格の平家でありましたけれど、門付けをして歩いて、さのみ人の耳を喜ばすべき種類のものではありません。だからこの盲法師をつかまえて、銭を与えようとする人は極めて乏しいものです。ただでも耳を傾けようとする人すら、極めて少ないものでありました。

どうかすると、しかるべき身分の人が、

「珍らしいな、いま平家を語るものは江戸に十人と有るか無いかだが、その平家を語って、門付けをして歩くのは珍らしい」

と言って珍らしがり、わざわざ自分の屋敷へまで招んでくれる人がありました。そんな人の与える祝儀が唯一の実入りで、市中で銭を与える人は、前に言う通り極めて少ないものでありましたけれども、弁信は怠らずに、それを語って歩きます。

この頃、両国で茂太郎の評判が高いのを聞き、もしやと思って今日は出がけに、この軽業小屋を訪ねてみましたけれど、楽屋番はすげなく断わってしまいました。すげなく断わられても、大して悄げもせずに路次を立ち出でました。