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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠5(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,120 字 · 516 頁

青空文庫

「神尾殿、お危のうござる」

皆が留めたけれども、主膳は留まりませんでした。りゅうりゅうとその槍をしごいて、いま身震いして立ち迷うているムク犬の前に、風を切ってその槍を突き出しました。

神尾主膳といえども武術には、また一通りの手腕のあるものであります。怒りに乗じて突き出す槍が、かなり鋭いものであることは申すまでもありません。

ムク犬は後ろへ退ってその槍の鉾先を避けました。勢い込んだ神尾主膳は、逃さじとそれを突っかけます。

酒の勢いを仮る主膳の勇気は、一座のお客を歎賞せしめるより、寧ろその無謀に驚かせました。しかし、主人がこうして出たのに、客も黙って引込んではいられないのであります。ぜひなく刀を押取って主膳の後ろ、或いはその左右から応援に出かけました。錆槍を借りて横合より突っかける者もありました。

ムクが主膳の槍先を避けたのは、或いはこの家の主人に遠慮をして避けたのかも知れません。好んで人に喰いつくものでないことを示すために、最初しかるべき逃げ場を求めていたのかも知れません。しかし、こうなってみてはムクとして、自分の生存のためにも立って戦わなければなりません。