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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠5(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,120 字 · 516 頁

青空文庫

「心がらでございますね、いくらおすすめ申しても、お家へお帰りなさるお心持になれないのでございますから」

「家へは帰られないわけもあるが、ああ逆上ても恐れ入る、悪女の深情けとはよく言ったものじゃ」

「わたしは、あれこそ何かの因縁だと思いますね、ただ惚れたとか、腫れたとかいうだけのことではありませんね」

「因縁かも知れん。このごろ、拙者もあの女の面を見ると、なんだかゾクゾクと怖いような心持になるわい」

「あのお嬢様は、たしかに御前を恨んでおいでになります、御前とお面をお合わせになると、きっと横を向いておしまいになりますけれど、御前のお後ろ姿や、横面をごらんになった時の眼つきは別段でございます、全く取殺してしまいそうな、怖い眼つきをなさるのはどういうものでございますか、わたしには合点が参りません」

「それは大きに、そうありそうなことじゃ、ずいぶん恨まれていい筋がある。思えばこの屋敷は化物屋敷に違いない、この神尾主膳と、あの藤原の娘のお銀とが落ち合って、睨み合っているのさえ空怖ろしい悪戯であるのに、業の尽きない机竜之助という盲目が、あれが難物じゃ。それにお前だとて、生やさしい女ではあるまい、あのお絹殿……という女。