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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠5(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,120 字 · 516 頁

青空文庫

主膳としても不意であったろうし、お銀様としても、我を忘れた乱暴な仕打であります。

「ああ、かさねがさね」

主膳がようやく起き上った時は刀を抜いていました。その時に後ろから、

「御前、お危のうございます」

抱き留めたのはお角。お銀様はこの時、もう土蔵の中へ入ってしまいました。

お角に抱き留められた神尾主膳は、例の酒乱が兆して荒れ出すかと思うと、そうでなく、

「あははは、拙者が悪かった」

と言って、ぐんにゃりと萎れたのは少しく意外で、お角がかえって力抜けがしました。そこで極めて温和しく、いったん抜いた刀をも鞘へ納めて、

「ズブ濡れだ、いやはや」

主膳としてはあまりに人のよい態度で、土蔵の前へよろよろと歩いて行き、土蔵の戸前から中を覗き込んで、

「机氏、机氏」

と二声ばかり呼びました。

土蔵の二階では、何かひそひそと話をしていたらしいのが、はたと止まって、真暗でそうして静かで、何とも返事はありません。

「こんな湿っぽいところに、このうんきに籠っていては堪るまい、ちと出て来さっしゃい、ただいま一酌をはじめたところ、相手が無くて困っているのじゃ」

「いま行く」

二階では、帯を締め直すような音がしました。