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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠5(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,120 字 · 516 頁
太夫自身にも、見物を嬉しがらせるようなチャリが言えないから、ただ眼を円くして見下ろしているばかりです。
いちばん上の桟へ踏跨った米友は、そこで巧みに中心を取ってはいるが、それを下から見るとかなり危なかしいもので、大風に吹かれるように右へ左へゆらゆらと揺れます。
暫らく中心を取っていた米友は、
「エッ」
と二度目の気合で、両の手に今まで腰をかけていた桟の板をしっかりと握り、その上体を右へ捻ると見れば、筋斗打ってその身体は桟の上へ縦一文字に舞い上りました。
「アッ」
見物が舌を捲いている間、米友はその恰好で梯子の中心を取りました。やはり惜しいと思われるのはせっかくのキッカケに、後見も入らなければ、三味線太鼓も鳴らないことであります。暫くその恰好をつづけた米友は、
「エッ」
と気合を抜くと、また元の形に逆戻りして桟の板に腰を下ろして、崩れかかる梯子の中心を、いいかげんのところあたりで、パッと食い止めて元へ戻して納まりました。
「アッ」
それで見物は手に汗を握る。取敢えずこれだけの前芸は、米友がエッと言えば、見物がアッというだけの景物でありました。やはり、軽口を叩く後見がこの辺へ入らなければ、太夫さんもやりにくかろうし、合の手が間が抜けるだろうという心配は無用の心配で、米友は米友らしい一人芸で、客を唸らすことができるものと