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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠5(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,120 字 · 516 頁
米友が伝法院の塀へ上り終った時分に、弥次馬がその塀の下へ押しかけて来てワイワイと言って噪ぎます。
塀へ上ると米友は、その梯子を上からグッと引き上げて、また肩にかけて塀の上をトットと駈け出しました。
「それ、そっちへ行った、こっちへ来た」
弥次馬は誰に頼まれて、何のために米友を追いかけて来たのだかわかりません。
米友は追いかける弥次馬を尻目にかけて、塀の上をトットと渡って歩いたが、やがて塀から蛇骨長屋の屋根の上へ飛びうつりました。長屋の屋根の下の者は驚いて外へ飛び出して、弥次馬と一緒になって騒ぐ時分には米友は、そこから飛び下りて淡島様の方へ一散に走って行きます。
そこで弥次馬に弥次馬が重なってくると、米友を追いかける事の理由が、いよいよわからなくなってしまいました。ただ追蒐けるがために追蒐ける人間が、雲のように米友のあとを慕って来るのであります。
「何でございます」
「泥棒でございましょうよ」
「何の泥棒でございます」
「梯子を持っているから、半鐘の泥棒でございましょうよ」
というのはまだ出来のよい方でありました。この非常の場合においても、梯子を抱えて走るというのは、米友が商売道具を大切にする心がけと、それから証拠を残しては後日のために悪いという用心とのほかに、これを持っていることが逃げるのにかえって都合がよいから