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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠5(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,120 字 · 516 頁

青空文庫

拙者はこれから清吉を捜して参る」

「まあ、ほんとにあのお方はどちらへおいでになったのでしょう……いえ、もうわたしも起きられます、どうぞ、お心置きなく。どんなところにおりましても、淋しいなんぞと決して思いは致しません。歩けさえ致せば、わたしもお伴を致すのですけれど」

「ちょっと、その辺の様子を見て、ことによると碇場まで行って来る、その間に、もし清吉が帰ったならば、そのように申してくれるよう」

「畏まりました」

甚三郎は病人のお角にあとを頼んで、提灯をつけて外へ立ち出でました。

駒井甚三郎が出て行ったあとのお角には、夢のように思われてなりません。

甲州城の勤番支配として、隆々たる威勢で乗り込んだ駒井能登守その人を、こんな方角ちがいの辺鄙なところで、こうしてお目にかかろうということは、夢に夢見るようなものです。

あの凜々しい、水の垂るような若い殿様ぶりが、今は頭の髪から着物に至るまで、まるで打って変って異人のような姿になり、その上に昔は、仮りにも一国一城を預かるほどの格式であったが、今は、見るところ、あの清吉という男を、たった一人召使っているだけであるらしい。