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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠5(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,120 字 · 516 頁
おたがいに知らないでいるけれども、米友が竜之助を疑うように、竜之助もまた米友を疑わないわけにはゆきません。話をしているうちに、ちゃんぽんになっていた話が、或るところへ行ってピタリと合うことのあるのが不思議でありました。この前の日に、米友は何か急に思い当ったらしく、竜之助に向って、
「おい、お前は、本当の盲目かい、盲目の真似をしているんじゃねえかな」
と言ったことがありました。何のつもりで米友がこう言ったのだか、その時に竜之助は思わずヒヤリとさせられました。米友が竜之助に疑いを懐きはじめたのは、蓋しこの時からのことであります。けれども、ここで熟睡していたから、その疑いもなんのことはなく、米友が寝像の悪いままでほしいままに寝ていると、行燈に片手をかけていた竜之助も、やや暫く立っていて、やがてまた一足歩き出した途端に行燈の火が消えました。
細目にしてあった行燈の火が消えたことと消えないこととは、竜之助にとっては、大した障りではありますまい。それと共に裏の雨戸が一枚、音もなく開きました。竜之助はその極めて僅かの間から外へ出てしまいました。
竜之助が外へ出ると共に、むっくりと蒲団を刎退けたのが米友であります。