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だいぼさつとうげ

大菩薩峠6

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠6(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,112 字 · 362 頁

青空文庫

人々があっと騒ぐ時には、もう曲者の姿はいずれにも見えませんでした。非常な早業であり、非常な手練であったが、止めを刺す余裕がなかったものか、その必要を認めなかったものか、きり捨てたまま姿を隠してしまいました。懐中の物を奪おうでもなし、荷駄の品物に手をかけようでもありません。何の恨みあって、この宰領を手にかけたものだか、その要領の程が誰にも合点がゆきません。

馴染の女と話をしていた山崎譲は、無論、このことを知ろうはずがありませんが、その噂は忽ちにして耳へ入りました。

「お代官の江川様へ行く馬方が、大木戸で斬られた」

それを聞くと山崎は、着物を振って立ち上りました。

「どいてくれ、どいてくれ、親類の者がやって来たんだ、どいてくれ」

一足飛びに大木戸まで来て、人だかりを突き退けて前へ出て、ちょうど検視の役人が取調べの真最中へ、臆面もなく面を突き出して、

「遅かった、遅かった、一足遅かったよ、済まねえことをした。お役人衆、これは拙者の連れの者に相違ござらぬ、拙者が宰領で甲府の城内から、ついそれまでやって来たのが、僅かの行違いでこんなことになりました、委細の申し開きは拙者が致しますが、ともかく、この者の傷所を見せて下さい、どうも合点がいかねえのだ」