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だいぼさつとうげ

大菩薩峠6

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠6(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,112 字 · 362 頁

青空文庫

十

駒井甚三郎は、近々に房州へ帰らなければならぬ。このほど江戸へ上って来たのは、洲崎の海岸で船を造らんがために、その費用と、材料と、大工とを求めんがために、来たものであることは申すまでもありません。お角も茂太郎も、それと一緒には遣って来たものの、駒井にとっては、それは偶然の道連れに過ぎないが、お角や茂太郎にとっては、駒井甚三郎は再生の恩人であります。駒井の役に立つことならば、何を置いてもつとめなければならないし、もし甚三郎が急に立つものとすれば、やはり何を置いても見送らなければならぬはずです。

十

机竜之助は、あの晩から再び弥勒寺の長屋へは帰りませんでした。染井の化物屋敷へも姿を見せた形跡はありません。練塀小路の湯屋を出たのはたしかに、その人であったに相違ないけれど、早駕籠の行先はわかりません。

けれども、天にかくれようはずもなし、地にくぐろう術もないから、日ならずどこかへ姿を現わすにはきまっています。姿を現わさないにしても、いずれにか志す所の安住の地があればこそ、駕籠を傭うたものであろう。駕籠屋とても、めくら滅法界に人を載せて走るというはずはありません。