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だいぼさつとうげ

大菩薩峠6

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠6(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,112 字 · 362 頁

青空文庫

輪を作ります。

その相歌う声は、さしもに広い小金ヶ原の隅々に響いて、空にさやけき月の宮居にまでも届こうという有様です。しかしながら、その何百人が声を合わせて歌う声は、いつも茂太郎が口笛一つに支配されている。彼等の声がいかに高くなり、いかに雑多になろうとも、馬を曳いて真中に立つ茂太郎の口笛だけは高々として、すべての声と動揺との中に聳えています。その口笛によって音頭があり、音頭があって初めて身ぶりがあるのでした。

単にそれは人間のみではなく、家々に養っている犬という犬がまたこの騒ぎに共鳴して、争って表へ出でて、踊りと踊りの間を面白く狂い廻り、トヤに就いている鶏は、しきりに羽ばたきをして、飛んで下りたがる。いよいよ広いところへ練り出して、馬をとどめて立つと、その周囲を輪になって、人という人が夢中になって踊り狂うのは、冷やかに見ていると、物につかれたとしか思われない振舞です。

こう騒ぎが高くなっては、馬上に置かれたお喋り坊主の弁信も、そのお喋りを切り出す隙がありません。空しく馬に乗せられて、見えない目で、群集の騒ぎを聞いているだけであります。

馬上の弁信は、その周囲に耳を聾するばかりの踊りの歌と、足拍子を聞きながら、馬の手綱を引っぱっている茂太郎に、馬上から問いかけました。