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てんのう
天皇
蜷川 新
線上閱讀蜷川 新《天皇(てんのう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,036 字 · 269 頁
それはかえつて、天武の勢いを助けることであると考えた。そこで、右のようなことを申したのである。天武にたいして、叔父にたいする礼をつくし、その奉養をあつくしたならば、天武は恥じて、反逆することはできないことになるであろう。しかるに、弘文はそれを用いなかつた。鎌足は、不幸にしてはやく死んだ。
天智が、天武を呼びよせたのを見て、蘇我安麻呂は、ひそかに天武につげて言つた。天智の心の中には何事かひそんでいる、と。それによれば、安麻呂もまた、弘文が、天武をきらつていることを知つていたのである。
天武は、天智にむかつて、僧侶となりたいと願つた。天智は、それを許した。それを許したのは天智であつたが、それは弘文の希望をいれたものであつたことは必然であつた。
そこで世の人はいつた。それは虎に翼をつけて野に放つようなものである、と。虎を養うものは、大事に飼わなければならない。そうすれば、人間を害する心配はない。いま飢えた虎を野に放つた。それでは、この虎は、かならず人を害する。しからば、天武には罪がなかつたであろうか。
いな、天武は虎であつた。それであるから、虎は責めるわけにはゆかない。