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ふじんとぶんがく
婦人と文学
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《婦人と文学(ふじんとぶんがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 頁
またそうも云った。『己惚れてやがる。この女め』と殴られたこともあったが、やっぱり、私が手綱を握っていることは、たしかだった」そして、「良人が出て来ずにはすまなかった口惜しさと安堵とで、思うさま泣けた」作者のこころもちで終っている。
日本の治安維持法のひどさは、言語に絶していた。その犠牲の広汎であることは、戦争の犠牲の広汎なのと匹敵した。日本の文学は戦争と治安維持法のために、旧い野蛮な絶対制の権力のために、蹂躙されつくした。今日において、きのうの日本の社会と文化を語る文学作品として、寧ろ、この歴史的時期が真剣にとりあげられなさすぎるのは、奇異な心持さえする。作者たちは、そのようにも自分たちの人生を挫き、存在の意味を失わせた暴力が何だかということを自覚さえしないで生きて来ているのだろうか。無事に作家として生存して来たと思ってでもいるのであろうか。
平林たい子が、戦時中逆境にいて生死の経験をし、これらの作品に、今は話せるその物語をとりあげたことは一つの業績としなければならない。「一人行く」よりも、「こういう女」は小説に馴れ、自分の声を自分できくことに馴れ始めた作者の筆致がある。