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よせとしばいと
寄席と芝居と
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《寄席と芝居と(よせとしばいと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 26,084 字 · 52 頁
殊に大晏寺堤は団菊左の顔合わせで、開幕前の噂はなかなか高かったが、さて初日を出してみると客足が思わしからず、通し狂言の「安中草三」も在来の円朝物ほどに面白くないと云う不評で、この興行はさんざんの失敗に終わった。それに懲りたとみえて、歌舞伎座もその翌二十七年の一月興行には寄席の読み物は出さなかった。
しかも菊五郎と円朝物とは離れぬ因縁が結ばれたらしく、二十八年一月の新富座では又もや円朝の「粟田口」を上演した。名題は「粟田口鑑定折紙」主なる役割は小森新之丞、下男与助(菊五郎)大野惣兵衛(市蔵)荷足の仙太(猿之助)稲垣小左衛門、矢切村のおしの(松助)稲垣小三郎(菊之助)小三郎の妻おみよ(栄三郎)等で、矢切村の丈助殺しが見せ場であった。稲垣の下男丈助が悪人に語らわれて主人を破滅に陥れ、素知らぬ顔で矢切村の実家へ立ち寄ると、母のおしのは已にその秘密を知っていて、わが子にだまされたような顔をしながら、不意に短刀を丈助の脇腹に突き立てる。丈助は手負いになってから本心に戻り、悪事を懺悔して落ち入るという筋で、円朝の原作が已に「千本桜」の権太を粉本にしたものであるが、菊五郎がそれに扮していよいよ権太化してしまった。