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からすうりのはなとが
寺田寅彦随筆集 第三巻
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第三巻(からすうりのはなとが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 頁
蜘蛛のあんなに細い弱い糸の網で大きな蝉が捕られることから考えると、蚊帳一張りほどもない網で一台の飛行機が捕えられそうにも思われるが、実際はどうだか、ちょっと試験してみたいような気がするのである。
子供の時分にとんぼを捕るのに、細い糸の両端に豌豆大の小石を結び、それをひょいと空中へ投げ上げると、とんぼはその小石をたぶん餌だと思って追っかけて来る。すると糸がうまいぐあいに虫のからだに巻きついて、そうして石の重みで落下して来る。あれも参考になりそうである。つまりピアノ線の両端に錘をつけたようなものをやたらと空中へ打ち上げれば襲撃飛行機隊は多少の迷惑を感じそうな気がする。少なくも爆弾よりも安価でしかもかえって有効かもしれない。
戦争のないうちはわれわれは文明人であるが戦争が始まると、たちまちにしてわれわれは野蛮人になり、獣になり鳥になり魚になりまた昆虫になるのである。機械文明が発達するほどいっそうそうなるから妙である。それでわれわれはこれらの動物を師匠にする必要が起こって来るのである。潜航艇のペリスコープは比良目の目玉のまねである。海翻車の歩行はなんとなくタンクを思い出させる。