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あひるとさる
寺田寅彦随筆集 第五巻
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第五巻(あひるとさる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 194,515 字 · 389 頁
また別の言い方をすれば西洋人は自然を征服しようとしているが、従来の日本人は自然に同化し、順応しようとして来たとも言われなくはない。きわめて卑近の一例を引いてみれば、庭園の作り方でも一方では幾何学的の設計図によって草木花卉を配列するのに、他方では天然の山水の姿を身辺に招致しようとする。
この自然観の相違が一方では科学を発達させ、他方では俳句というきわめて特異な詩を発達させたとも言われなくはない。これは一見はなはだしく奇抜な対比のように聞こえるであろうが、しかし自分が以下に述べんとする諸点を正当に理解される読者にとってはこうした一見奇怪な見方が決して奇怪でないことを了解されるであろうと思われる。
日本人のこうした自然観がどうして成立したかという起原と理由については前に引用した他の場所でやや詳しく説明してあるから、ここではそれは略することとして、ここではこの日本人固有の自然観の特異性がいかなる形で俳句という詩形の中に現われて来るかを説明してみようと思う。
従来俳句について客観と主観ということが問題になることがしばしばあった。この句は純客観の句であるとか、あの句は主観の句であるとかいうような批判を耳にすることがある。