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ならしげざっぴつ

小出楢重随筆集

小出 楢重

線上閱讀小出 楢重《小出楢重随筆集(ならしげざっぴつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 334,351 字 · 657 頁

青空文庫

そこで日本人は、西洋人が十九世紀における芸術上の苦悶を本当に体験する事なく、ただ降って来た風雨をそのまま受けていたに過ぎないのである。即ち古い手法の残りと新しき技法の初めとが相前後して渡来した訳であった。

もし、仮に、西洋において、新らしい芸術運動が起らず、古き伝統によるアカデミックがそのままに日本へ流れ込んで少しの変動もなかったとしたら、日本現在の油絵は、大に趣きを異にしていたに違いない。明治の初めにおける高橋由一、川村清雄、あるいは原田直次郎等の絵を見ても如何に西洋の古格を模しているかがわかる。あの様式がそのまま日本で発達し成長していたならば、日本の洋画は随分ある意味において、かえって画法としては壮健な発達を成していたかも知れないと思う。

ところで日本に発達した西洋画は原田氏以後の黒田清輝氏たちの将来せる処のフランス印象派によって本当に開発されたのであった。以来、なおそれ以上の破格である処の伝統を抜き去ろうと努力した処の革命期の多くの絵画が侵入して素晴らしき発達を遂げたのである。

しかしながら、近代フランスの画家たちが求めた処の、技術の革命の眼目とする処は、単化と自由と、省略とプリミチーブと線と、素人らしさと稚拙と、野蛮とであったといっていいと思う。