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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
線上閱讀小出 楢重《小出楢重随筆集(ならしげざっぴつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 334,351 字 · 657 頁
雑念
神経の太いある種の芸術家はこのいやな顔からこそうまく金を引き出そうと考えるのである。
雑念
私は算術という学科が一等嫌だった。如何に考え直しても興味がもてないのだった。先生に叱られても、親父から小言を食っても、落第しかかっても、一向好きになれなかったのみならず、興味はいよいよ退散する一方であった。
5+5が10で、先生がやって生徒がやっても、山本がやっても、木村がやっても、10となるのだ。10とならぬ時には落第するのだからつまらない。
私は5+5を羽左衛門がやると100となったり、延若がやると55となったり、天勝がやると消え失せたりするような事を大に面白がる性分なのである。
何故、この世の中にこんな小うるさい学科が存在して私を悩ますのかと思った。私の心に厭世という暗い芽を吹き出さしめたのは、算術であったといっていい位いだ。
数学の書物と来ると、見るのも不愉快だった。安物で、まっ黒で、不体裁で、不気味で、全く私はこの黒い本を見ると、死神を思い出し、私の嫌な蜘蛛を思うのが常であった。
算術の問題というものがまた実に面白くないものだ。大工ありと来るのだ、一日に何時間を働くといった、事が書いてある。