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こざくらひめものがたり

小桜姫物語

浅野 和三郎

線上閱讀浅野 和三郎《小桜姫物語(こざくらひめものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,097 字 · 267 頁

青空文庫

二、その頃の生活

寄せてはかえす七里ヶ浜の浪打際の貝拾いも私の何より好きな遊びの一つでございました。その時分の鎌倉は武家の住居の建ち並んだ、物静かな、そして何やら無骨な市街で、商家と言っても、品物は皆奥深く仕舞い込んでありました。そうそう私はツイ近頃不図した機会に、こちらの世界から一度鎌倉を覗いて見ましたが、赤瓦や青瓦で葺いた小さな家屋のぎっしり建て込んだ、あのけばけばしさには、つくづく呆れて了いました。

『あれが私の生れた同じ鎌倉かしら……。』私はひとりそうつぶやいたような次第で……。

その頃の生活状態をもっと詳しく物語れと仰っしゃいますか――致方がございませぬ、お喋りの序でに、少しばかり想い出して見ることにいたしましょう。もちろん、順序などは少しも立って居りませぬから何卒そのおつもりで……。

二、その頃の生活

先ずその頃の私達の受けた教育につきて申上げてみましょうか――時代が時代ゆえ、教育はもう至って簡単なもので、学問は読書、習字、又歌道一と通り、すべて家庭で修めました。武芸は主に薙刀の稽古、母がよく薙刀を使いましたので、私も小供の時分からそれを仕込まれました。その頃は女でも武芸一と通りは稽古したものでございます。