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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
線上閱讀浅野 和三郎《小桜姫物語(こざくらひめものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,097 字 · 267 頁
七十七、神の申子
一と月、二た月と経つ中に、どことはなしに躯がすっかり衰えて行き、やがて頭脳が少しおかしくなって、良人の名を呼びながら、夜中に臥床から起き出してあるきまわるようなことが、二度も三度も重なるようになって了いました。
保養の為めに、この娘が一人の老女に附添われて、三崎の遠い親戚に当るものの離座敷に引越してまいりましたのは、それから間もないことで、ここではしなくも願掛けの話が始まるのでございます。
七十七、神の申子
或る夜社頭の階段の辺に人の気配が致しますので、心を鎮めてこちらから覗いて見ますと、其処には二十五六の若い美しい女が、六十位の老女を連れて立って居りましたが、血走った眼に洗い髪をふり乱して居る様子は、何う見ても只事とは思われないのでした。
女はやがて階段の下に跪いて、こまごまと一伍一什を物語った上で、『何卒神様のお力で子供を一人お授け下さいませ。それが男の子であろうと、女の子であろうと、決して勝手は申しませぬ……。』と一心不乱に祈願を籠めるのでした。
これで一と通り女の事情は判ったのでございますが、男の方を査べなければ何とも判断しかねますので、私はすぐ其場で一層深い精神統一状態に入り、仔細にその心の中まで探って見ました。