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あきかぜとはは
尾崎士郎短篇集
尾崎 士郎
線上閱讀尾崎 士郎《尾崎士郎短篇集(あきかぜとはは)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 108,032 字 · 216 頁
私は切腹の理法も仕方も知らぬが、おそらく、中野の苦悶は尋常一様ではなかったであろう。
今にして思えば、中野の死は惜しみても余あるものであり、いささか礼を失するかも知れぬが、私の信ずるところを率直に語れば、中野本来の面目から逸脱した無意味な行為であった。
当時の憲兵隊長四方何某が、中野を殺したのはおれだ、といったということであるが、私はその頃の憲兵隊の実状と、一種、常識では判断することのできないような陰険、暴慢、冷酷無慙な人間をつくりあげていた憲兵心理から推断して、二十六日、取調べにあたって、中野のうけた屈辱が、いかに堪え難いものであったかということだけを想像することが出来るだけに、この四方の言葉には信をおいてもいいと思う。
中野の死後、この事実を小説化したり、戯曲化したりしたものもあったようであるが、彼等の解釈が、中野に対して好意的であると否とを問わず、ほとんど、軌を一にしていることは、彼のインテリ性が、人を人とも思わぬ悪質な拷問に対して、止むなく心にもないことを口走ってしまったところに原因があるということである。
これについて、小泉輝三朗(元東京高等検察庁部長検事)が昭和三十年に刊行した『大正犯罪史正談』