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あきかぜとはは
尾崎士郎短篇集
尾崎 士郎
線上閱讀尾崎 士郎《尾崎士郎短篇集(あきかぜとはは)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 108,032 字 · 216 頁
「冗談から駒が出ましたな」
そう云ってにやにやと笑いました。それから典獄の方を向いて、唇の上へ手をあてて巻煙草をくわえるまねをしてから、大へん四角ばった口調で申しました。
「せめて一期の思い出に希くば一本ほしいね、それを喫ったらこの世に思いのこすこともあるまい」
そこで典獄が敷島をとり出してわたしますと、彼はいそいで一本ぬきだし吸口を指の先で四つにつぶしてから口にくわえ、マッチをすってスパスパとやったと思うと急にむせるような咳をしながら、
「どうもいかん、――これはいかん、眼が廻りそうだ、久しぶりでやったせいか頭までぐらぐらしてきたぞ、これでは気もちのいい往生もできますまい」
何度も咳をしたあとで彼は吸いさしの煙草を足元へなげすて、草履の裏でふみつけ大声にからからと笑いだしたのです。しかしわたくしの読経を最後まで落ちついてきいていたのはこの男だけでした。そのつぎが有名な内田愚山和尚です。禅門の僧侶だけにとぼけた風格のあるひとでしたが、この日は身体の工合がよくなかったらしく非常に面やつれがしてじっと立っているのも苦しそうに見うけました。典獄の申しわたしがすんでもしばらくぼうっとして立っているのでわたしがそばから、