輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
あきかぜとはは
尾崎士郎短篇集
尾崎 士郎
線上閱讀尾崎 士郎《尾崎士郎短篇集(あきかぜとはは)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 108,032 字 · 216 頁
とささやいてから、
「あの、――」
と、隅の席に腰をおろした男の方へ顔を向けた。「紹介しましょう、これが僕の親戚の鷺野伍一です」
「ほう」
ちょび髭の男は丁寧に頭を下げた伍一の方を振向こうともせず、ちらっと腕時計をすかすように見て、
「おい、だいぶ時間が立ちすぎたぞ」
と、つっけんどんな声で言った。すぐ前の席にいた刑事が、「さア、かえるかな」と丈吉を促しながら腰をあげた。一瞬間、嶮しい感情が丈吉の顔にあらわれたが、しかし彼は何時の間にか自分をおさえる習慣をつくってしまったのであろう、怒りを噛みころした唇をかすかに顫わせただけで伍一の方を向いた顔は「ごらんのとおりです」と言わんばかりの微笑をふくんでいた。窓に凭れかかっていた本堂はぴくっとして立ちあがり、何か弁解をするためにしばらく口をもぐつかせていたが、すぐ刑事に追い立てられるように出ていった。
「何か君、――差入れるものでもあったら」
と伍一は多吉に目くばせしてから、横を向いている主任の方へ、「どうもいろいろありがとうございました」と静かな表情で礼を述べ、そのまま暗い階段を下りてゆくと、多吉があとからすぐ下りてきたので、