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びょうぶはたたまれた
屏風はたたまれた
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《屏風はたたまれた(びょうぶはたたまれた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,953 字 · 24 頁
誇らしく思うどころではない、その話がでるたびに、弥十郎は赤面し、ふきげんになった。それが彼の一転機になったらしく、学問より武芸のほうへ身をいれはじめた。学問所へもずっとかよってはいたが、できるだけ自分を眼立たないようにつとめたし、武芸のほうも同様であった。実際にはめざましく上達したけれども、決して他に気づかれず、総試合のときなどでも、つねに中軸の位地を保つようにしていた。
こういう努力はいちおう役立って、二十歳を越すころには、彼に対する特別な評も消え、秀才扱いもしぜんと解けた。二十二歳までに恋を二度し、二度とも片想いに終った。いずれも同家中の軽輩の娘で、望めば嫁にもらえたかもしれないが、云いだす決心のつかないうちにだめになった。一人はまもなく嫁にゆき、他の一人はこちらの気持が冷えてしまったのである。そのころから縁談が来はじめ、また、年ごろになりかけた妹の友達などにも騒がれだした。彼女たちは妹のみはると同年か、一つ二つ年上の者もいたが、中に一人いさましい娘があって彼に付け文をした。もちろん夢にあこがれるような罪のないものだったろう、彼はその娘とじかに会い、封じたままの手紙を黙って返してやった。