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やまのこんじゃく

山の今昔

木暮 理太郎

線上閱讀木暮 理太郎《山の今昔(やまのこんじゃく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,554 字 · 42 頁

青空文庫

縁起や由来記などに、忽然として二頭の狼が顕われて先導したとか、或は大明神若しくは仏菩薩が出現して道を教えたとかいうような所伝の裏面には、登路を案内し又は示唆した是等猟師の働きが反映しているものと解釈しても差支ないような気がする。事実明治時代になって、調査にしろ登山にしろ、それが未知の山地である限り、常に優良なる案内者となったものは殆ど皆猟師であったことは、現に吾々が見もし聞きもして知っている通りである。稀に猟師の居らぬ所では、岩茸採りや樵夫などが代用されたが案内者としては勿論猟師に及ぶ筈はなかった。

こういう風に山の人達特に猟師は、原始時代の昔から現代に至るまで、世は移り人は替っても、長い伝統的生活の下に狩猟其他に依って得た山の知識を継承して、絶えず隠れたる功績を登山界に寄与していたのである。

日常生活や信仰に関係なき山登りとして、国見の為に登山することも古代には稀ではなかった。国見山、高見山などと称する山が諸国に多いのは其名残りであろう。勿論平野に臨んで屹立している山ならば、其目的に副う筈であるから、他にも国見の為に登られた多くの山があるのは当然で、筑波山などは其最もよき一例である。