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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)

山の憶い出 上

木暮 理太郎

線上閱讀木暮 理太郎《山の憶い出 上(ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 284,014 字 · 565 頁

青空文庫

最高位を占むる至仏山でさえ二千二百二十八米一にしか達して居らぬ。其他は二千百五十八米三の武尊山、二千百三十九米六の平ヶ岳、二千五十七米五の笠ヶ岳を除けば、余は皆二千米以下の山許りである。尤も千九百米を超えているものは十余座を数うることを得るが、兎に角高度に於て秩父はさて措き、日光火山群にすら遥に劣っているに拘らず、これが二千米前後の山であるとは如何しても思われない、少なくとも二千六、七百米の山脈を望むの感がある。其中でも利根川の右岸即ち西側に在るものは、越後の駒ヶ岳や中ノ岳から清水峠に連る所謂清水山塊の大部分をなす長大な山脈であって、飛騨山脈でいえば立山山脈に当るものである。冬季日本海上を掠めて来る西北の風は、悉く其水蒸気を拉し来って、先ず立山山脈に多量の雪を降らすのと同様に、此山脈に多量の雪を降らすので、利根川の左岸即ち東側にある後立山山脈に比す可き平ヶ岳や至仏山及武尊山等を連ねる山脈よりも、高さは低いが積雪の量は余程多いからして、北寄りの平ヶ岳に辛うじて少量の雪を認め、至仏山や其の東北に在る附近第一の高峰二千三百六十米を超えた燧岳にさえ、恐らく雪の片影を止めざる八月盛夏の候も、尚お谷という谷は殆ど全部雪渓をなしている。