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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)

山の憶い出 上

木暮 理太郎

線上閱讀木暮 理太郎《山の憶い出 上(ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 284,014 字 · 565 頁

青空文庫

道端に腰を落ち着けて、十五、六は忽ち平げて了ったがまだ物足りない。鬚男が引き返して更に十五、六買って来て、これも瞬く隙に平げてやっと満足した。

強石から膝栗毛をガタ馬車に乗り替えて、砥の如き大道を金崎に着いた。汽車を待つ間の時間が長いので宝登山まで歩くことにする。長瀞を見物して帰ってもまだ時間が余っている。停車場前の宝登山亭という宿屋に休んで汁粉を命じた。これがまた野趣横溢たるものがあって、三人を喜ばせた。如何したはずみか長瀞で見た茶屋の女に話が飛んで、折から出て来た亭主に「アリャ怪しいんでしょう」と綿入れの人が無頓着だけに、つい鼻の先に其怪しいのが居るにも関わらず、無遠慮な質問を向ける。亭主は笑いながら、

「怪しいんです」

と答える。綿入れの人

「そいつは危険だな」

「別に危険な事はないでしょう」

三人は腹を抱えて笑った。

(大正五、一〇『山岳』)