輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
まぼろしのかなた
幻の彼方
豊島 与志雄
線上閱讀豊島 与志雄《幻の彼方(まぼろしのかなた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 41,763 字 · 84 頁
ともすると、膝から下がすぐに冷たくなった。
どうにも仕方のない状態だった。親戚や親しい知人の見舞客があっても、彼女は別に嬉しそうな顔もしなかった。客が帰ると、僅かな言葉しか交さなかったのに、非常に疲れを覚えてるらしかった。
もし秋子が死んだら?
そういう場合の予想が、いつしか順造の頭に巣くってきた。彼はそれに自ら気付いて不安になった。さりとて、彼女をそのまま長く苦しめるのは堪らないことだった。が回復の望みは更に少なかった。腹痛に唸りながら歯をくいしばってる彼女の側に、彼は拳を握りしめた両腕を組みながら、その大きな腹をじっと睥みつけた。切り開いて中の何かを掴み出したら、というような残忍な考えまで起った。
彼女は唸り声をはたと止め、歯をぎりぎり喰いしばって、異常な力の籠った両手を、ぐっと肩の方へ持って来た。見開いた眼が据っていた。痙攣を起したのだった。
腹痛を我慢してるのか痙攣を起してるのか、見極めのつかないこともよくあった。
「もう駄目でしょうか。」と順造は坪井医学士に尋ねた。
「今の所はまだ大丈夫のようですが、然しあの通りの状態ですからね……。」
医学士は多くを語らなかった。