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しんりしけんをよむ

『心理試験』を読む

平林 初之輔

線上閱讀平林 初之輔《『心理試験』を読む(しんりしけんをよむ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 2,253 字 · 5 頁

青空文庫

悲劇、喜劇、史劇、抒情詩、叙事詩、牧歌、悲歌……その他その他が、それぞれ形式的にきちんと区分されていたのである。ところが今日では、百千のイズム、形式が混在していると同時に、文学の全体的総合、さらに進んで音楽も絵画も文学をも包括する総合的境地が開拓されつつあるのである。

小説もますます細かく分科すると同時に、各部門の境界が混融して合体せんとしている。日本の文壇で執拗に信じられている純文学と通俗小説とのような素朴な二元論は今や存在理由を失いつつあるといってよかろう。この意味で私は探偵小説の個性をも認めると同時にその一般性をも認めたいのである。

江戸川乱歩氏の近業『心理試験』は、この意味で興味がある。江戸川乱歩は日本が生んだ最初の探偵小説家であるということは氏の作を読んだ人々の間の定評である。この「定評」を分析して、もっと正確に言うと、江戸川乱歩は、探偵小説を芸術のレベルに引き上げたということになる。何となれば赤本の探偵小説は従来いくらも日本にだって流布していたからである。

小酒井不木氏は『心理試験』の序で、江戸川氏の作品を評して「とうてい外国人では描くことのできぬ東洋的な深みと色彩」