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しそうとふうぞく
思想と風俗
戸坂 潤
線上閱讀戸坂 潤《思想と風俗(しそうとふうぞく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 216,700 字 · 422 頁
道徳の文学的観念を私は、云うまでもなくあれこれの道徳律とも道徳感情とも考えない、又あれこれの習慣とも風俗とも考えない、却ってそうした所謂「道徳的」な諸現象をそういうものとして把握させるような一つの認識の立場の名が夫だと考える。現実のそうした反映をやる場所や媒質の名が、道徳=モラルだ。処で文学というものは、恰もこの実在反映の仕方の如何によって、科学から区別されているのである。文学と科学とでは方法は勿論のこと世界観の形象も実は全く同じとは考えられない。なぜなら世界観とはすでに一つの実在反映の結果のことだから。すると文学の認識=反映の場所や媒質が即ち道徳=モラルだ、ということになるのである。この道徳観念を文学的道徳観念と呼ぶ所以は之であり、世間の文学がモラルを語る所以も亦之だ。
今この道徳の立場、即ち文学の立場が、科学乃至理論の立場とどこで異るかを説いている暇がない。夫は恐らく形象の問題と自己(自我・自意識・等々)の問題との関係の内に横たわると思う(コム・アカデミー編『文芸の本質』――ヌシノフ――の稿及び岡・戸坂著『道徳論』中の拙稿「道徳の観念」に問題を譲ろう)。