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しそうとふうぞく
思想と風俗
戸坂 潤
線上閱讀戸坂 潤《思想と風俗(しそうとふうぞく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 216,700 字 · 422 頁
で、学生は昔に較べるとずっと弱いものになって来た。現代学生業はたしかに或る特権は持っているが、併し矢張り一種の「弱い商売」なのだ。
尤も今では昔の書生級であった連中が社会の支配幹部となっていて、その子弟が取りも直さず現代の学生なわけだから、現代学生はこの相当裕福になった親爺の仕送りを受けているので、昔程の貧書生でもなければ又今の親爺達自身程懐工合がいいのでもない。最近の統計を見ていないが、第一次世界大戦直後の好況期に於ける某帝大の学生の平均学資は八〇円だったと思うから、之で大体現在の彼等の消費能力も見当がつくだろう。
処でカフェーの問題になるのだが、実は現代学生の享楽上の消費能力及びそれに基く享楽上の趣味風俗が、カフェーの存在と非常によく相応しているのである。カフェー発達の初期には学生層からの援助が著しく大きかったのではないかと想像するが、その歴史は今日でも大して外見上は衰えていない。女と酒(多くは観念的な意味で――特に現代学生のために弁明しておく)が比較的安価に又安易に求められる処は、学生にとっては何と云ってもカフェーだったのである。――処がカフェーも段々高級になり待合化して来たので仕送りでチップを払う学生などでは持てなくなって、直接に資本からチップを払う頭の禿げた例の親爺階級(昔の書生の成人したもの