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しそうとふうぞく
思想と風俗
戸坂 潤
線上閱讀戸坂 潤《思想と風俗(しそうとふうぞく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 216,700 字 · 422 頁
処がモラルは、このモラリストからの伝統を参照しないでは歴史的に理解出来ない用語である筈なのである。
だが一つの言葉を広く深い生きた意味に使おうとするのに、文学史の先生のように昔からの腐れ縁に執着することは無論馬鹿げたことだ。今日の「モラル」という言葉は確かにもっと自由に新鮮なイメージを伴って使われているだろう。処がそれにも拘らず何となくそれが又「モラリスト」臭く「エッセイスト」臭いのだ。往々、モラルとは心理のことであり、又人間学的なもののことだと考えられているのである(内部的人間学はモラリストの一理論体系だ)。
もしそうだとすると、文学のモラルと云えば、心理主義に於ける倫理のようなものになったり、内省的なヒューマニズム文学のことになったり、し兼ねない。或いは世界が何かモラルというもので出来ているかのようなモラリズム文学のことにもなり兼ねない。だからもしモラルを性的な本質のものだとすれば、汎セクシュアリズムともいうべきものになる(之は今日日本で流行っている)。――人生は生産機構から解明される代りに、性衝動から説明されたり、人間性の展開とされたり、身辺心理の短篇集になったりする。