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あやしのやかた
怪しの館 短編
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《怪しの館 短編(あやしのやかた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 81,915 字 · 165 頁
で、向こうをすかして見た。
が、庭木が繁っている。土塀のあり場所など解らない。したがって土塀から飛び下りた、六人の姿なども解らない。
深夜の裏庭は静かである。とはいえ殺気が漲っている。
ピシッ! 鯉が飛んだのである。
パタパタ! 水禽が羽搏いたのである。
後は森然と風さえない。
だが殺気は漲っている。
「妙な運命にぶつかったものさ」旗二郎こんな場合にも、こんなことを考える余裕があった。
「ゆくりなく女を助けたのが、偶然人を殺す運命となった」
おかしいようにも思われた。
「どんな儲けにありつくかしらん?」
期待されるような気持ちもした。
「美人の葉末、手にはいるかな?」
ふと思ったので嬉しくもなった。
「養子にでもなれたら大したものだ。素晴らしい屋敷、宏大な宅地、手にはいろうというものさ、うまうま養子になれるとな」
ニコツキたいような気持ちもした。
「とにかくウンと働くのだ。見せつけてやろうぜ、冴えた腕を。だが」と母屋の方を見た。「肝腎の娘はどうしているんだ。肝腎の主人はどうしているんだ。いやに静まっているではないか……オッ、足音!」
と耳を立てた。
シトシトと足音が聞こえて来る。