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うらみなきさつじん

恨なき殺人

宮島 資夫

線上閱讀宮島 資夫《恨なき殺人(うらみなきさつじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 27,611 字 · 56 頁

青空文庫

「いつかの宿屋の伜ですよ、あっしの顔を覚えてるっていうなあ、畜生っ」と言ったが、

「やったなあっしじゃないんですから、行きましょう」と言って、三田はさっさと歩き出した。

二人が見張りに帰って来た時は、見張りの中は、事務員や刑事で一杯になっていた。その中には、現場の見廻りに来た石山の姿も見えた。何時聞き伝えたのか、坑夫は見張りを遠巻きにして立っていた。見張りにいた刑事は、

「此処では何ですから、一寸何処かを拝借したいんですが」と言うと、石山はすぐ、

「製図室があいてます」と口を出した。

「僕が行きましょう」と、池田は刑事と三田を、見張りの下の製図室に案内した。彼は事の真相のわかるまで、刑事の傍を離れたくないと思っていた。

ガランとした湿気臭い製図室に入ると、

「君もかけ給え」と、商人風をした刑事が、三田にも椅子を与えた。

三田は悪びれた風もなく、腰を下すと、後ろには、三人の刑事が囲むように立ってしまった。その中での上役らしい男が、三田の前に腰を下して、

「君は塩子で喧嘩をした相だね」と問い始めた。

「ええ、やりました」と、東京で植木屋や八百屋をしたこともあると言う三田は、威勢よく答えた。