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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《探偵夜話(たんていやわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 140,363 字 · 277 頁
を向けさせて、東京式の屋号を付けてある或る料理店へわたしを誘い込んだのであった。
いろいろの贅沢をいっている場合でない。ともかくも久し振りで日本式の風呂に入って、日本の畳の上にあぐらをかいて、日本の浴衣の胸をくつろげて、団扇をばさばさと使った心持は、なんともいえないほどにのびのびしたものであった。
「シンガポールへ帰ると、もう日本へ帰ったようだというが、まったく本当ですね。」
「日本へ帰ったというほどにも行きませんが、まあ日本らしい風が少しはそよそよと吹きますね。」と、安井君は芸妓の配りものらしい古団扇で頭をしきりに煽ぎながら笑っていた。「だが、御覧なさい。みんな去年の古団扇で、これじゃあ余りいい風は出ませんよ。」
安井君はここらでも相当に顔が売れているらしく、芸妓や女中などを相手にしてしきりに冗談などを言い合っていた。ここでおもな料理店はどことどことで、芸妓の頭数は四十人ほどあるということなどを私にも説明してくれた。そんな話をしているうちに、かのこてちゃんの小鉄の噂が偶然に安井君と芸妓とのあいだに持ち出されたのであった。そうして、このこてちゃんの死がどうも普通の病死ではないらしいのが私の注意をひいた。