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たんていしょうせつだんのしょけいこう
探偵小説壇の諸傾向
平林 初之輔
線上閱讀平林 初之輔《探偵小説壇の諸傾向(たんていしょうせつだんのしょけいこう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 5,887 字 · 12 頁
『新青年』が、ある期間の間、しかもそうとう長期にわたる間、海外の傑作ばかりを紹介することにつとめてきたのは、意識的であるか偶然であるかは(編集者に失礼ながら)わからぬが、探偵小説を志す人の陥ったであろうイージーゴーイング〔無頓着〕な心持ちを抑えつけてしまう効果をもっていたことは争われない。もし、あれだけの海外の探偵小説を紹介する労力が省かれていたならば、日本の探偵小説は、きっと現在よりも遥かに低いレベルから出発して見苦しい発達をとげていたに相違ない。この点で、日本の探偵小説は、ほとんど最近にようやく勃興の機運を示してきたにもかかわらず、かなりフェーヴォラブル〔好意的〕な要約の下に生ぶ声を上げたものと言うべきであろう。
しかし、何事にも相反する二面がある。危険を予感しているものが必ず危険を最も巧みに避けるものとは限っておらず、衛生のことばかり気にしている人が必ず病気にかからぬとはいえない。それのみか、あまり一つのことを気にしすぎると、かえってへまを演ずるものである。ムイシュキン公爵は、支那製の高価な花瓶をこわしはしないか、こわしはしないかと気にしたためにかえってそれをこわしてしまったのである。