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たんていしょうせつだんのしょけいこう
探偵小説壇の諸傾向
平林 初之輔
線上閱讀平林 初之輔《探偵小説壇の諸傾向(たんていしょうせつだんのしょけいこう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 5,887 字 · 12 頁
四
しかしこの作に代表されている江戸川氏の一面は、良い一面であるとは言えぬ。宇野浩二張りのぬらくらとした、冗舌そのもののような文章と、場末の寄席で見るような、デカダンの空気であり、それはまさに、江戸川氏からとりのぞいてもらいたいと思うものである。ただし、横溝氏の作には、この他にはこれと異なった味の出ているよいものがあったように、ぼんやり記憶している。
城昌幸氏の作品は気分小説といえよう。題は忘れたが、古本屋から日記帳を買ってくる話、「意識せる錯覚」等は、いずれも、いわゆる芸術的小品といえる。しかしそれはあまりに「芸術的」でありすぎる。作者の目的とする効果があまりにデリケートにすぎて、しっかりした客観的な落ちつきを欠いている。時にはぜひ必要な筆触が作者の主観の中で独り合点されて省略されているような場合もある。どこかに鋭いものをもっていそうな感じがするが、未成品である。踏査未了の鉱脈のようなもので、はたしてそれが金鉱であるか銅鉱であるかは今のところ私にはわかりかねる。もっと描写に確実性を与えることが急務であろう。
四
以上の四人は、少なくも最近においては、精神病理的、変態心理的側面の探索に、より多く、もしくは全部の興味を集中し尋常な現実の世界からロマンスを探るだけでは満足しないで、まず異常な世界を構成して、そこに