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ぶんがくのどんてん
文学の曇天
豊島 与志雄
線上閱讀豊島 与志雄《文学の曇天(ぶんがくのどんてん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,837 字 · 10 頁
営養不良は、食物の不足と空気の不足と、両方から来る。実践的動力の不足は食物の不足であり、権力的統制から来る拘束は空気の不足である。
近頃吾国に起ってきた自由主義には、右のような陰欝さが観取されないだろうか。少くとも、この自由主義には朗かさが乏しい。
自由主義は、その本来の気質からして、朗かであるべきである。やがて勃興しようとする気運の先駆者たる溌剌さを、内に萠芽しているべきである。それが、陰欝であるという現状は、たといブールジョアジーの自由主義であるとしても、余りに惨めである。
この自由主義の陰欝さと、前述の文学の曇天とは、共通のものを持っている。それは同一のものから来る投影の、二つの現れに過ぎない。即ち、何物かが空を蔽い日の光を遮って、大きな影をなげかけ、その影の中で、文学は未来に対する進展力を阻まれ、自由主義は食物と空気との摂取を妨げられている。
そうした影を投じてる本体は何か。それは、逆に辿って、強度の権力的統制であると云えるだろう。然し現在の権力的統制は、注目すべき特殊な相貌を呈しているようである。
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権力的統制は、権力を掌握してる主体が青年期もしくは壮年期にある場合に於いてのみ、力と生命と意義とを持つ。