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しんたからじま

新宝島

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《新宝島(しんたからじま)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 頁

青空文庫

なぜかというと、そこには、どんなかすかな光も無かったからです。物が見えるのは、光というもののおかげですから、その光が少しもなければ、ちょうど目が無くなってしまったのと同じわけになるのです。

どんなまっくらな闇夜でも、空のうすあかりで、かすかに物の形がわかるのですが、ここにはそういううすあかりさえありません。ほんとうにめくらになったのと同じ、黒暗々の闇なのです。

少年たちは、どうかして、この恐しい暗闇を、のがれ出ようと、筏につんであった木箱の板で、しきりに水をかいて、筏を進めましたが、そうして半日ほども漕ぎつづけたのに、なんの変ったことも起らないのです。いくらさぐっても、手にさわるものは何もありません。闇はいよいよ深くなるばかりです。

「変だねえ、漕げば漕ぐほど、洞穴の方でひろがって行くじゃないか。いったい、ぼくらの筏は進んでいるのかしら。なんだか、いつまでも同じ所にいるような気がするぜ」

一郎君のがっかりしたような声が、闇の中から聞えました。

「進んでいなくはないよ。水に手をつけてみると、筏の動いているのがわかるよ」

考えぶかい哲雄君は、筏のふちにしゃがんで、水に手を入れているらしく、低い所からその声がしました。